保育園巡回での出来事-その1-

新型コロナウィルスの影響で、延期されていた保育園巡回が6月から始まりました。
今年は小学校、中学校の巡回が増えたため、保育園の巡回の数が減ってしまいました。
だからこそ、数少ない巡回相談を大事に使ってほしい、と願っています。

 

私の行っている巡回相談の仕事について、少しでもみなさんに知っていただければと思い
個人や団体を特定できないように加工してお伝えしたいと思います。

 

今回は大将になりたいAくんのケース。

 

3人兄弟の長男で、1つ下に妹がいます。
得意なこと、いっぱいあるんです。絵心は最高にあって、教えてもらいたいくらい上手。
でも得意なことと同じくらい、苦手なこともいっぱいあるんです。
その苦手なことは絶対にやろうとしない。
保育士が誘っても「俺は絶対にやらないんだ!」って。言い張ります。
そして時には暴言も出ているようです。

 

私が保育室に入るとAくんは「知らない人が来た」と明らかに警戒しています。
沢山の保育園児がお出迎えしてくれて、我先に自分の話を聴いてほしくて近寄ってきます。
もうこの状態ではソーシャルディスタンスはないです(汗)
その様子を見てもまだ警戒心が強くて・・・

 

でもあまりに絵が上手すぎて、思わず私が「すごい上手!誰が描いたの?」と呟いてしまった。
それを聴いていて「俺だよ!」と声をかけてくれたAくん。
やっとA君の声を聴けた瞬間でした。

 

それからやりたくない活動を見学していたので、やりたくない理由を聴いたり
両親の話や友達のことをたくさん教えてくれました。
話をしていて、私はAくんがいま、何が欲しいのか、ずっと考えていました。
そして、私がアセスメントしたAくんは

 

・誰かに認められたいと切に願っている。(誰か→恐らく母親)
・誰かに注目されたいと思っている。
・強い自分でいることが、褒められる一番の方法だと誤認識してしまっている。

 

他にもありますが、強い自分でいるためにかなり頑張ってしまっているようでした。
身体はとても硬く、手足だけで歩行しているように見えます。

 

カンファレンスでは、Aくんが強い自分でいようと頑張りすぎていることをテーマに
お話ししました。
様々な話し合いの中で(内容は少し割愛します)保育士の先生たちが、日常での
Aくんのことについて教えてくれます。
それをつなぎ合わせると、やはり強い自分を誇示するために頑張りすぎている
Aくんの姿が透けて見えました。

 

そこで、Aくんに対しての声掛けについて工夫を促しました。

 

Aくんだって両親や先生に思いきり甘えたい。
でも家では「お兄ちゃんだからしっかりして!」と言われているようで
甘えることがうまくできなかったようです。
適切な時期に、適切に甘えられることがどれだけ自尊心を育てるかについても
保育士の先生たちにお伝えしました。

 

翌月、同じ園に訪問しましたが、Aくんの表情がとても柔和になっていました。
そして、大将になりたい気持ちも少しずつ薄くなり、人に譲ることもできるようになっています。

 

先生たちがカンファレンスの後に、かかわり方を再度検討していただいたおかげで
AくんがAくんらしくいられるようになったと思います。

 

次に伺うのも楽しみです。

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